20020705(fri.) 13121/X
音楽仕事用のMac。せっかく現行で一番速いやつを買ったんだから、そのパフォーマンスを生かして何か不要になるものはないか? 今日はがんばってミキサーを取っ払ってみるテスト。
今までなんでミキサー(YMAHA 01V)を使っていたかと言うと、もちろん複数のソースを同時にモニター出来るようにという理由もあったが、もうひとつは、レイテンシー(音の遅れ)を回避するためでもあった。
ご存じのようにどんなに高速なコンピューターでも音が入力されて出力されるまでの間にタイムラグが生じる。アナログにはないデジタル機器の痛いところである。このレイテンシーが音楽制作には非常に問題で、特にリアルタイムレコーディング時には「演奏しづらい」という問題が起きる。ミキサーを使えば、入力する音を事前にパラって、片方をパソコンへ、片方をミキサーへ送り、このミキサーに送った方の音だけをモニターすれば、遅れは「0」ということになる。ただし、コンピューター内でプロセッシングした音を聴くわけではないので、録音後に「あれ?なんか違う」なんてことも起きてくる。
で、コンピューターのレイテンシーを少なくするためには、バッファーサイズってやつをより小さくする必要があるが、演算処理に負担がかかるため、高速なマシーンでないとノイズが出たりフリーズしたりして、なかなか小さくすることが出来ない。
この前まで使っていたG3/400では、1024(sample/buffer)が実用範囲だったが、G4/1Ghz Dualでは、512、または状況によっては256まで小さくすることが出来るようだ。
この機会に、これらのバッファーサイズで実際どれくらいの遅れが生じるのか実験してみた。
DP3 レイテンシー補正Ticks (1拍=480ticks)
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sample/buffer
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1024
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512
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256
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MIDI
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VSTi
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MIDI
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VSTi
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MIDI
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VSTi
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BPM=240
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91
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120
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52
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60
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32
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36
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BPM=120
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45.5
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60
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26
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30
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16
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18
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BPM=060
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23
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30
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13
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15
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8
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9
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※曲のBPM÷120×(使用bufferのBPM120の値)= 補正Ticks
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(実験環境:PowerMacG4/1Ghz Dual , DP3.02 , MAS2.33 , FreeMIDI1.47 , MOTU2408mk2 , MOTU MIDI EXPRESS XT USB , 48Khz , 16bit , Input Monitoring Mode=Monitor recprd-enabled tracks through effect , MIDI楽器はRoland JV2080 , VSTiはVST Wrapper3経由のSampleTankを使用)
実験してみて分かったのは、バッファーを2倍にしても、遅れは2倍にはならないということ。これはちょっと意外だった。テンポは2倍速くなれば、補正Tick数も当然2倍に増える。やる曲のテンポによって、表にある数式のように補正Ticksをはじき出すことが出来る。これ便利(でしょ?)。
あと、VSTiなどのソフトシンセはMIDI機器よりさらにレイテンシーが大きいことが分かる。しかも一定しているわけではないようで、多少の「揺らぎ」があるようだ。(ウワサは本当だった。)
ちなみにバッファーサイズ256でのMIDI機器の遅れを秒に換算すると、16.6msec(または100分の1.6秒)。うげっ、こんなにあるのか!? レコーディングで演奏したことがない人は「100分の1.6秒なんてほんのちょっとじゃん」と思うかもしれないが、実はこれはかなりな時間だ。オリンピック同様、突き詰めるとコンマ何秒の世界があるってわけです。
ふむ、そうか、まだまだだなあ。まだミキサーも弁用した方が無難かもな〜。でもとりあえず、オートインプットモニターも出来るしミキサー使わないでやってみよう。
速度が空間を作り出すまでにはもうしばらく時間がかかりそうだ。
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